ラララ詩8


 



月夜


あの月が君にも見えるだろうか

すさまじいほどの火を燃やして

オオカミの声のまぼろしを聞こう

この満月の日に



闇はここにもある

ここに光があるから

私は目をとじて陽ざしを思う

そしてやわらかくなった夜をゆく



なつかしい音がソラ・ソラと響いている

ほかのたくさんの音に混じって

あれはなんだろう、なんのうただったろう



漂いつきない君たちの思いに

私は胸をくるしくして横たわる

息を切らしてうずくまったばかりの黄色いしっぽ

そんな月に

私自身の夢も思いながら






純粋


事実だけの記憶のすべてが

意味を帯び

深くかがやいて



別の道をゆくように

私は歩いた



今はもう会えない人の本当の姿

今はもういない自分の素直さと

けれども同居する残酷さにも会った



大人の純粋を

ずっと問うていた末に



自慢すべき知識も発想も筋力も

やさしい想像の力を欠けば

それは知らずに鬼に化ける



例えば

なにもしないという

大きな純粋

例えば

ただ飛ぶためにだけ飛ぶという

名前のあるあのカモメのような純粋




-----------------------------

                         next

                         back

                         index






  next

  back

  index