ラララ詩1


 

木の実



君の足元にころがり落ちた

ささいな木の実を



ぼくは育てている



それはどんな木になるのか

どんな実がなるのか

今のぼくにはわからないが



それでもそれは

ぼくにとって大切なものに育つだろう

たとえば

雨の日にはあたたかい傘になり

日照りの日には涼しい日陰をつくる

そんな大木に育つだろう



君の足元にころがった

ほんの一瞬の時間



ぼくはそれを永遠のように覚えている

あまりにまぶしい太陽が

君の背後にあって

ぼくのすがたは

丸ごと影のようになってしまった



そうしてぼくは今こうして

時間の中を流れすすんでいる



この流れを垂直に飛びだして

あの永遠の一瞬に

行き着けるはずの、その日に向かって








雲を散らす岩

岩をくだく風

風を切る翼



どこかが弱く

どこかとても強い

みんな



かがやきながら問うている

自分の不純を

嘆きながらも手をのばせば

指の先がわずかに触れる

ホントウのことに





カラス


ちいさな球根を掘っている

カラスが上から眺めていた

あきもせず



これを土に埋めたら

さっそくつついてみるつもりで

豆じゃないよ食えないよ残念だけど



いつも同じ木の同じ枝にいるカラス

おまえ、なにかの神さまみたいに



風が吹いている

木々は感じている

カラスは見ている

こんな私を




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